『今回は誠に申し訳ありませんが、不採用とさせて頂きます』
憂鬱になる文に私はため息をつき、不採用通知を破ってゴミ箱に捨てた。
「ああ……もう」
私は苛立ち混じりに口走り、冷蔵庫から酒を取りだし、グラスに注いだ。
グラスのお酒を少しだけ口に含んだ。
「やってらんないわ、これで十社目だよ」
私は言った。
会社の都合で辞めさせられたけど何とかなると思っていたが甘かった。
不採用続きである。
「……私を雇わないなんてバカよ」
会社ではスキルを身につけてきたつもりだ。なので自信はあった。
けど、連続で不採用となるとへこみそうだ。
「いい加減やばいな……バイトでも良いから仕事しなきゃまずいかも」
今は失業保険が出てるけど、ずっと続く訳ではない。
一人暮らしの身なので、お金は大切だ。
この先のことを考えていると携帯から音が鳴った。
宛先は……
「紀子からか」
紀子は大学時代からの友人で、結婚していて今でも会ったりしている。
『元気?
数日前に子供が産まれたよ』
赤ちゃんの写真と文面からして幸せそうである。
羨ましいな。
早くいい相手を見つけて結婚したいという衝動に駆られそうだ。
でも今はその時期じゃない。私は自分が輝ける場所を探さないといけないからだ。
私はメールを打った。
『おめでとう、紀子に似てイケメンね、仕事が決まったら会いに行くから!』
メールを送信し、私はそのまま求職サイトを見始めた。
自分のためだけでなく、紀子と紀子の子供に顔向けできるようにするためだ。
「私の居場所は絶対見つけて見せる」
私は自分に言い聞かせた。

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