爽やかな青い空に白い雲が穏やかに流れる日、空と同じ青い髪に、白い羽根を背中に生やした天使の少女・ラフィアが花畑で鼻歌を交えて花を摘んでいた。
「今日はお母さんに花をプレゼントするんだ~」
ラフィアは機嫌良く言った。今日は母の日で、いつも頑張っている母親に、花をあげようと思ったのだ。
母親といっても事情があり実の両親を失ったラフィアを今の母親が引き取ったので、当たり前だが今の母親とは血の繋がりはない。
しかし苦労しながらもラフィアを実子と同じように育ててくれた。今日は今の母親に感謝の気持ちを花を渡して伝えたいのだ。
「よし、これだけ集めれば十分かな」
ラフィアは集めた花束を見て、満足そうに言った。背中の羽根もラフィアの気分を現すように、上下に動く。

「お母さん」
家に着いたラフィアはキッチンにいる母親・ロウェルに声をかける。
ロウェルはラフィアの方を振り向く。
「何?」
「はい! お母さんが好きな花だよ! いつも頑張ってくれて有難う!」
ラフィアは花束をロウェルに差し出した。ラフィアはロウェルがどんな反応をするのか気になった。
「まぁ……綺麗ね、ラフィが摘んできたの?」
ロウェルは訊ねた。ラフィというのはラフィアの愛称である。
「そうだよ、オアシスちゃんで摘んできたんだよ」
ラフィアは朗らかに言った。
オアシスちゃんとはラフィアが花を摘んでいた花畑のことで、心が安らぐ場所という意味でラフィアが名付けた。
ただしラフィアが勝手にそう呼んでいるだけで、他の天使からは普通に花畑と呼ばれている。
ロウェルは優しげに笑った。
「有難う、花瓶に入れて飾るわね」
「うんっ!」
ラフィアはロウェルにつられて笑顔になった。

ラフィアにとっての母の日は素敵な思い出となった。


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