私はショコラと言います。天使です。
私は今からリン先輩に渡すためのトリュフを作りたいと思います。

まずはチョコレートを刻み湯煎にかける。次に生クリームを温め、温まった生クリームをチョコレートに混ぜる。

ここまでは順調ですね。
トリュフ作りをしながら、何故私がリン先輩のことを気にするようになったのか言っておきます。

私が授業に必要な教材を持って廊下を歩いていると、うっかり転倒してしまいました。音が大きかったため、人々の目が私に注がれます。
ああ、恥ずかしい……
そんな中一人の男子が私の前に現れたのです。
「大丈夫、怪我はない?」
男子は私の体を見て気遣ってくれました。
「え……あ、はい、すみません、私ったら……」
恥ずかしさのあまり私は慌ててしまいました。すると男子は言いました。
「この教材持っていくの手伝うよ」
男子は散らばった教材を集めてくれました。
「良いんですか?」
「平気だよ」
男子は明るく言いました。
その後、私は男子と一緒に教材を持っていきました。
男子の名前は私より一つ年上のリンという名前だということが分かりました。
優しさや気遣いができる男子は、私のクラス内の男子にはいません。私が転倒した際同じクラスの男子は笑ってたくらいです。

それ以降、私はリン先輩のことが気になり始めました。廊下を歩いている時にリン先輩を見るだけで心がときめくのです。

「よし、できたっと」
トリュフを完成させ、私はトリュフを一つ口に運びます。
「美味しい」
我ながら満足のいく出来に、私は安心しました。これならリン先輩も喜んでくれるでしょう。
願わくばリン先輩と……
「いけない、私ったら、早くトリュフを包んじゃおう」
私は雑念を振り払い、トリュフを箱に詰めてラッピングをくるみました。
「これで大丈夫」
私は言いました。ですが誰かに触れられると困りますので念のために呪文をかけておきます。
このトリュフには明日がかかっていますからね。
「我以外の物に箱に触れることを許さず!」
呪文がかかり、箱には円型の光が包まれました。私以外の天使が触れることができない呪文です。
これで問題ないはずです。

箱を冷蔵庫に入れ、入浴を済ませて、私は寝る準備をしました。
明日はトリュフを渡してリン先輩に想いを伝えるのです。寝不足な顔では恥ずかしいですからね、ちゃんと寝ます。
「良くも悪くも、悔いは残したくないわ」
私は自分に言い聞かせました。
不安がないというと嘘にはなりますが、考え過ぎないようにします。
「リン先輩、おやすみなさい」
私はリン先輩の顔を浮かべながら目を閉じます。どんな反応をするか今から気になります。


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