「癒しの光よ、この花達に安らぎを与えよ!」
ラフィアの声と共に、黄色い光が花の群れに降り注ぐ。すると萎えた花が再び元気になり、蕾の花が咲き始めた。
「これでオアシスちゃんもしばらく安心だね!」
ラフィアは明るく言った。
ラフィアは時折小さな頃に遊んだ花畑に訪れては癒しの呪文で花の手入れをしている。
ラフィアのいう“オアシスちゃん”とはラフィアが勝手につけた花畑のあだ名である。
「ラフィ、そろそろ行くよ」
ラフィアの背後で待っているリンは言った。
「はーい! 分かったよ!」
ラフィアは振り向いてリンの元に来た。
「じゃーね、オアシスちゃん! ラフィがテスト受かるのを祈っててね!」
ラフィアはリンと共に空を浮き、花畑を後にした。
今日は天使昇給のテストがあるので、緊張を和らげる意味でも花畑に来たのである。
「朝食は食べたし、オアシスちゃんに挨拶したから後はテストを切り抜けるだけだね」
ラフィアは自分に言い聞かせた。
「よーし、頑張るぞっ!」
「気合い十分だね」
「大事な日だからね。受からなかったらリン君にも悪いから」
この日のために、ラフィアはリンの力を借りつつも必死に努力してきた。なので不合格は避けたい所だ。
「癒しの呪文、どうだったかな?」
ラフィアはリンの顔を覗き込んだ。
「あれだけ出来れば十分だよ、問題は相手かな」
「おかしな人に当たらなければ良いな」
テストは地上で天使の救いを求める人間の元に行き人助けをするという内容だ。
ただし、どんな相手かは行ってみなければ分からない。
「もし合わない相手だったら先生に言うんだよ、変えてくれるから」
「……それなら少しは安心かな」
ラフィアの気持ちは和らいだ。
「リン君に変な相手が当たったら言ってね、ラフィが代わってあげるよ」
ラフィアは朗らかに言った。リンには世話になりっぱなしなので、お礼を兼ねてだ。
「有難う、でも自分の力でやりたいから」
「あまり意地張らないでね」
「気を付けるよ」

学校に着くまでの間、ラフィアはリンとテストの話をした。


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