「お姉ちゃんはどんな願い事を書いた?」
明美の隣には弟の太一が立っていて、明美に問いかけてきた。
「私はね、皆が元気で暮らせますようにって書いたわ」
明美は答えた。
もうすぐ七月七日。世間では七夕である。
星野家も年に一度は短冊に願い事を書いている。
「太一は何て書くの?」
「サッカー選手になりたい!」
笑顔で太一ははきはきと答えた。
太一はサッカークラブに所属し、練習に励んでいる。
今度は練習試合もあるので、太一の成長を見るのが楽しみである。
「試合が始まるまでに、ゴールを決められるようになるよ」
「楽しみにしてるね」
姉弟が話している時だった。扉を叩く音が響く。
「お姉ちゃん、入るよ」
妹・緑の声が聞こえると同時に、扉が開き、緑が現れた。
盆には様々な料理が並んでいる。
今日は両親が不在なため、緑が代わりに料理を作ったのである。
明美は近づいて、緑が作った料理を眺めた。見た目は綺麗で食べるのが勿体ないくらいだ。
料理のレパートリーが増えた。
姉の明美としても目を見張るほどである。
一時は意識不明だった緑が元気になってくれて明美は嬉しかった。
「わぁ! オムライス!」
太一は興奮していた。
緑が作るオムライスは大好物である。
「緑、また料理上手くなったね」
織姫と彦星が描かれたケーキを見て、明美は感心した。
褒められた事が嬉しいようで、緑は照れくさそうに笑った。

三人で七夕の料理を楽しみ。
今日かけた願いが叶うことを祈った。

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