風紀委員と幼馴染・その2 作者:ねる

明美は幼馴染の翔太と共に屋台で弁当を買い、休憩場で座って食べていた。
明美は野菜と肉がバランスの良く入った弁当に対し、翔太はホットドック・ステーキ……とにかく肉だらけの食事だった。
「翔太くん、野菜食べないの?」
口の中を空っぽにして、明美は釘を刺す。
翔太が野菜嫌いなのを承知しているが、肉ばかり食べていたら栄養が偏る。
「いいじゃん、野菜なんか食べなくってたって生きていけるって!」
翔太は開き直る。
家庭でも、野菜が出ても彼は迷わず残してそうだ。
「だったら私が陽向さんに頼んで美味しい野菜炒め作るように言ってあげようか?」
明美は翔太の顔を覗き込む。
陽向の手料理は美味しく、翔太の野菜嫌いを克服するには持って来いである。
明美が作るのも考えたが、料理音痴なので却下となった。
爆弾発言に、翔太は食べていたものを喉を詰まらせ、慌てて水を飲み干した。
「それだけはやめとくよ」
「どうして?」
あっさり否定され、明美は傷ついた。
「俺さ、野菜本当に駄目なんだよ、特にピーマンはさ」
翔太は慌てて言う。
「野菜嫌いは大人になってから治すよ、だから今は肉をたらふく食わせてくれ」
「そんな事言って逃げる気でしょ?」
「逃げないよ」
翔太は言い返した。
「分かったわ、そこまで言うなら信じてあげる」
納得しないが、明美は彼の言葉を少しだけ信じる事にした。
本当なら野菜嫌いを早く克服してもらいたいが、無理強いはよくない。

食事を終え、翔太は思い出したように声を出す。
「いっけね!」
「どうしたの?」
「俺さあいつ等と一緒に屋台を回る約束してんだよ」
明美は大体の検討はついていた。
翔太は一之葉兄弟と仲が良く、時間があれば遊んでいるのだ。
明美も男三人でいるのを見かける。 
「このた君とななた君でしょ?」
「ああ、そろそろ約束の時間だから、俺行くよ」
翔太は「じゃあな!」と明美に手を振り、人ごみの中に消え去った。
幼馴染を見送り、明美は再び巡回を再開した。


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