憂鬱な授業中、私は黒板を見てシャーペンを回していた。
 私はどうにもこの時間は苦手。
 そんな中、ポケットの中に入っていた携帯が静かに震える。
 私は先生の目を盗み携帯を見た。
 『今日ヒマ? 喫茶店行かない?』
 友達のあずさからだ。私はあずさのいる席に視線を移す。
 あずさは私を見て微笑んで手を降った。
 私は携帯に素早く文字を打ち込む。
 「うん、とーってもヒマだよ、学校終わったら行こう」
 『いいね、今日はあんたのおごりね、どんなの頼もうかな〜』
 「ちょっと待ってよ、おごるなんて言ってないでしょ、私の財布の経済知ってるクセに」
 『う・そ・だ・よ、あたしはお金持っているから心配しないで』
 「もーう、本当にびびった。驚かさないでよ」
 『あんたって冗談通じないね、そんな頭固いんじゃ将来ハゲるよ?』
 「大きなお世話よ……まあいいわ、学校終わったらいつもの喫茶店ね」
 ある程度メールのやり取りを終えると、私は携帯を閉じた。
 ……一言多いな、んもう。
 私は内心で苛立った。あずさは気分屋で日によって言い分が変わるので、グサリと来る言葉を言うことがある。
 ハゲるなんてひどいな、今は我慢しているがいつまで持つか不安だ。
 メールではっきり言えれば良いんだが、友達を失うのは怖い。
 
 再び携帯が鳴り、私は携帯を開けると私の不安は怒りに変わった。
 『ごめん! お金ないから、今日はやっぱりあんたがおごって』 
 私はノートのシャーペンの先を思いっきり刺した。
 ……もう、うんざり。

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