「いや……こないで……」
女は涙を浮かべ、目の前に迫る男に言った。
男は右手に包丁を持ち、女との距離を縮める。
「うるさい! お前が別れ話を持ち出さなければ、俺はここまで思い詰めなかったんだ!
 全部お前のせいだ!」
男は女に向って一気に包丁を刺し、女は「うっ」という声を上げる。
そして女は腹から血を流し、地面に倒れ込んだ。

「うひゃぁ、これはひどいね……一方的過ぎるよ 」
彼女はチョコを飲み込んで、表情を強張らせた。
いくらドラマとはいえ、人が死ぬのは見たくない。
直視できずテレビを消し、パソコンに視点を変えた。
「さて、今日もまた憂さ晴らししようっと」
私は日記に書いた。仕事での嫌なこと、人間関係のいざこざを詳細に……
相手のことなどお構いなしに、自分が思ったことを綴る。
これが結構スカッとする。
『もう止めて』
『見ていて気分が悪い』
などなど感想が書かれているが無視した。
ふふっ、人がどう言おうが関係ないわ。
だって楽しければそれで良いんだもの。

戻る
inserted by FC2 system