僕は君が好き、世界中の誰よりも
君に近づく者がいれば追い払い
君を壊そうとする者がいれば容赦しない。
僕以外の人間には君を触れさせない、絶対に。

 「セレス、入るよ?」
 僕は扉を叩き、閉ざされていた扉を開いた。
 眩いシャンデリアに、部屋中を埋め尽くす可愛い人形の数々、その中に一際目立つ金髪の少女がちょこんと顔を出す。
 青い瞳、童顔、赤いドレス、僕が良く知るセレスだ。
 「アイギス様!」
 セレスは僕の名を呼び、僕の体に手を回す。
 「ずっと待ってたんだよ、寂しかった!」
 「ごめんごめん、僕も仕事で忙しくてね」
 僕はセレスの髪を撫でた。セレスは柔らかな笑みを見せた。
 ―……この笑みが僕は大好きだ。
 僕がセレスと出会ったのは、彼女が屋敷の周辺で捨てられていた事がきっかけだった。最初は孤児院行きになる予定だった。
 けど、この微笑に僕は一目惚れし、父上にお願いしてセレスを養女として屋敷に迎えることになったんだ。
 「見てアイギス様、今日はうさぎのぬいぐるみを買って貰ったの」
 セレスは小さなうさぎの人形を僕に見せた。きっと父上が買ったのだろう。
 「気に入った?」
 「うん、とっても!」
 セレスは素直に返事をした。
 僕もつられて微笑んだ。セレスの微笑みは僕にとっての薬だ。辛い仕事も彼女の笑みがあれば何だってできる。

 僕は彼女の笑みを守る。
 例え世界中を敵に回しても……

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