夜空には彩り豊かな花火、会場は焼きそば、りんご飴、お面の屋台が並び人々で賑わっている。
 喧騒を抜け出し、浴衣を着た二人の男女は複数の客に混じって祭り会場を後にした。
 二人は仲良く手を握っている。
 二人が歩いている間にも花火は空に上がり、綺麗な光を見せた。
 「今日は楽しかったわ」
 明美は微笑みを、手を繋いでいる俊樹に向けた。
 明美の左手には小さな袋が握られており、二匹の金魚が元気良く泳いでいる。
 「そうだな、まさかお前が金魚すくいが下手だとは思わなかったけどな」
 「いいじゃない、人には得意不得意があるんだからさ」 
 明美は頬を赤く染める。
 金魚すくいに三回挑戦したが、一匹も掬えず、俊樹に頼んでようやく二匹掬えたのである。   
 金魚すくいをやるのは初めてだったので、俊樹の指摘どおり上手くできなかったのだ。それでも二匹掬えたのだから満足だった。
 「でも面白かった、明美の意外な一面が見られて」
 俊樹は言った。
 金魚すくいの他にも、一つの綿菓子を二人で食べたり、踊りに参加したり、花火を背景に記念撮影をしたりなど、夏祭りの思い出を築くことができた。
 どれも楽しくて、最高の思い出として心に残るに違いない。   
 「私も俊樹の知らない部分が分かって楽しかった」
 明美は朗らかに言った。二人が付き合い始めて二ヶ月で、お互いの事を知るために夏祭りのデートをしたのだ。
 その結果、俊樹の良い所が多く見えて今後も付き合えると確信が持てた。
 デートがいかに楽しかったかは俊樹の明るい表情が物語っている。
 「来年もまた来ようね」
 「ああ」
 来年も、再来年も俊樹と一緒に祭りに来たい、そして思い出を沢山作りたい
 もっとお互いのことが分かり合えたら良いと明美は思った。
 「お好み焼き美味かったな」
 「そうね、あ、そうだ今度お好み焼き作ってあげようか、私こう見えて料理得意だから」
 俊樹がお好み焼きを「美味い美味い」と言って食べていたのを、鮮明に覚えていた。
 俊樹が喜ぶのであれば、何でも作ってあげたいと明美は思った。
 「お前の手料理か……食ってみたいな」  
 「じゃあ、今度の月曜に作ってあげるから楽しみにしててね」
 二人は微笑みながら、祭りでの出来事を語り合って帰路についた。
 花火は二人の恋を照らすように、眩しい光を放っていた。

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 この作品は「ものかき交流同盟 二周年記念祭り」の参加作品です。

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