封印


アタシは、別れを切り出すことにした。

もう、彼と付き合う自信がないから。


「別れましょう」

アタシは単刀直入に彼に電話でそう伝えた。
突然のことで、彼は言葉を失い、荒々しい呼吸だけが耳に伝わる。
しばらくして彼はやり直そうや、別れないでくれなどとアタシに嘆願する。

彼はそう言って、アタシを引き止めてきた。
アタシもズルズルと彼と付き合っていた。

彼の優しさも一時的だけで、また浮気を繰り返す。

今回はアタシの友達に手を出した。
もう彼の仮初めの愛情にはうんざりした。

「ごめん、アンタとやり直す気はないから、さよなら、せいぜい他の人とお幸せに」

アタシはそう言って、電話を切る。
携帯電話にある彼のデーターをその日に全部抹消した。

アタシは彼への思いを封印した。


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