昔々、ある街に
ジョデイという少年が住んでいました。

ジョデイは困っている人を放っておけない、心優しい少年でした。
子供が無くした物を一緒に探したり、腰が弱っているおじいさんの代わりに畑を耕してあげたり、ジョデイは人の役に立つことを何より大事にしました。

ジョデイには好きな人がいました。
街の中心にあるお城に住むセイカ姫です。
セイカ姫は、綺麗な髪と目を持っており、ジョデイは一目見て、セイカ姫のことを好きになりました。
しかし、セイカ姫は兵士に守られており、城に近づくことができず、ジョデイはいつもセイカ姫のことを頭の中で浮かべることしかできませんでした。

そんなある日のことでした。
城に黒いドラゴンが現れ
セイカ姫を連れ去ってしまったのです。
知らせを聞いたジョデイはいてもたってもいられませんでした。
ジョデイは自分がセイカ姫を助けに行くことを名乗りでると、王様は言いました。
「頼む、わしの娘を助けてくれ、この玉でドラゴンを照らせばドラゴンを倒せる」
王様はジョデイに虹色の玉を託しました。

旅の支度を終えるとジョデイはセイカ姫を助けるための旅に出ました。
セイカ姫は暗黒の城に囚われており、城にたどり着くまでは、長い道のりです。
森を越え、川を渡り、砂漠を歩き、ジョデイは遂に暗黒の城に着きました。

ジョデイは城の中に入ると、黒いドラゴンがいました。
「よく来たな、小僧」
「セイカ姫を返してもらいたい」
ジョデイは言いました。
「それはできぬ、セイカ姫は私の花嫁になるのだ」
黒いドラゴンは言いました。
「それはセイカ姫の望むことではない、セイカ姫とおまえは住む世界が違うんだ」
セイカ姫は人間で、黒いドラゴンは生き物で、結ばれない運命なのです。
「セイカ姫には家族がいるんだ。だから返してくれ」ジョデイは訴えかけました。
ドラゴンの都合で、セイカを連れ去るなどあってはならないことです。
「黙れ! セイカ姫は私のものだ! 私には支えが必要なんだ!」
ドラゴンはジョデイに向かって炎を吹き掛けました。ジョデイは必死に逃げ回りました。
「やむ得ないな」
ジョデイは王様から貰った虹色の玉を取り出すと、宙に掲げました。
すると眩い輝きが玉から放たれました。
「ぐお! ま……眩しい!」
「ごめん、でもセイカ姫を王様の元に返してあげたいんだ」
ジョデイは申し訳なさそうに言いました。
ドラゴンがセイカ姫をさらったのは、ひとりぼっちが寂しかったのでしょう。
ドラゴンは悲しげな表情を浮かべて、光と共に消えていきました。

ジョデイはセイカ姫と共に街に帰り、街の人達は二人を祝いました。
「ジョデイ、あなたのように勇敢な人こそ、わたしに相応しいわ、結婚してくれますか?」
綺麗な目で、セイカ姫はジョデイに訊ねました。
「勿論だよ」
ジョデイは嬉しそうに答えました。

こうしてセイカ姫を救ったジョデイは姫と結婚し、幸せに暮らしましたとさ。

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