「色んな玩具があるんだな」
翔太は一つ一つを眺める。
優が作った玩具はボタンを押すと喋ったり、動いたり、目が光ったりする。
太一は「お店で売られているお菓子についてるおまけみたいに凝ってるね」と絶賛していた。
「何でこんなに作ってるの?」
まどかが訊ねる。
「まあ、色々とあるよ」
優は曖昧に答えた。
明美は優が玩具作りをする理由を知っていたが、優に口止めされているので言わなかった。
「おっ、これって」
興奮混じりに翔太は男性の人形を手に持つ。
「翔太くんのリクエストに答えて作ってみたよ~」
優は自信あり気に言った。
翔太が好きな漫画のキャラである。
「バンダナの部分を触ると喋るよ」
「マジかよ」
翔太はバンダナについている小さなボタンを押した。
『ハッピーうれピーよろピくねーーー』
男性の人形は声と共に、動きだした。
まどかの視線が翔太の持つ人形に目を向けた。
「わあ凄いね! 完璧だよ!」
まどかは目をキラキラ輝かせる。
「まどかも好きなの?」
明美は疑問を口に出した。
まどかの顔からして好きだと言っているのが伝わってくるからだ。
「そういえば言って無かったよね、隠していた訳じゃないけど」
まどかはさらりと返した。
翔太とまどかが見ている男性の人形は、近年アニメになった少年漫画である。
戦闘物で、いかにも翔太が好きそうな内容だが、まどかも好きだとは知らなかった。

翔太は人形を優にお金を払って手に入れ、まどかも人形を注文したのは別の話。

戻る

inserted by FC2 system